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12年ぶりの道南紀行2

函館らしいどんより曇った朝だ。
ホテルでもらった朝食券を手に朝市内のきくよ食堂へ。
本店と支店があり、12年前は支店の方でイカソーメン定食を食べた記憶がある。
今回は本店の方でイカソーメン定食を注文。
普通のイカ刺しとは全く違うつるんとした食感を味わったことだった。

函館駅前から電車に乗り函館どっく前へ。
12年前同様に函館山麓の風致地区をめぐる。
まずは外国人墓地へと向かう。
当時の記憶がうっすらと蘇る。
その時は晴れていたと思うのだが今日は曇って灰色の海だ。
青い海を見おろしてみたかったと思う。

かなり急勾配の坂をのぼって旧ロシア領事館前に着く。
確かに急坂だった記憶がある。
気温は低めなのだけれど湿度が高く汗だくになる。
高齢者の住民など坂の上り下りが大変だろう。
そのせいなのかどうなのか、このあたり「売地」と書かれた空き地が目立つ。
8月だのにあちらこちらでアジサイが色鮮やか。
やはり北海道は涼しいのだろう。

艶やかな旧函館区公会堂を眺めてからいったん基坂をくだって電車通りに。
有名な八幡坂を下から上までのぼってみる。
こちらもなかなか急な坂で、舗道がスロープと階段の2種類で構成されている。
敢て下を振り返らないようにしながら一番上に到着。
ここではじめて振り返る。
プラタナス並木の坂の下に函館港が広がる美しい眺めだ。
これで天気がよかったら最高だったのだが。
おりしもガイド嬢に率いられた団体客が到着し賑やかになる。
函館を代表する風景に変わりはないようだ。

そこからほど近く3つの教会が少し接近して建っている。
プロテスタント、カトリック、ロシア正教の3宗派が揃っているのが珍しい。
昨日も訪れたレイモンハウス元町店へ。
今日も夜のつまみ用にミニサラミを購入。
さらに12年前の函館旧駅舎内の牛乳スタンドで飲み、
なかなか美味しかった記憶のある山川牧場牛乳を見つける。
少々歩き疲れたこともあり店内で飲んで一休みした。

十字街から電車で函館駅前に戻る。
いよいよ本日のメインイベントたる江差線往復である。
来年5月12日で木古内~江差が廃止になるため、
さよなら乗車をしておこうというわけ。
なお同線自体は12年前にすでに完乗している。
当時はデジカメを持っておらず写真を残していないため、
今回はいろいろ撮影しようと思う。

江差行きの11時29分発の臨時列車は、
当初キハ183系6000番台のお座敷車両で運転される予定のところ、
先月の特急北斗エンジン火災による車両点検のため、
キハ40単行に変更されてしまった。
少し早めにホームに入り入線を待つが、
小中学生のヤングファンの姿が目立つ。
みな首からデジタル一眼を下げている。
時代は変わったものだ。

「えさし」と文字入りのヘッドマークを掲げたキハ40が入線。
写真撮影で少々乗り込むのが遅れて、海側のボックスは確保できなかったが、
山側に何とか座る。
五稜郭を出ると木古内まではノンストップ。
キハ183系で設定したダイヤそのままなので、
キハ40は必死にエンジンを吹かし、かなり無理して飛ばしているようだ。
廃止予定区間に入る前に昼食を済ませておく。
函館で購入しておいた鰊みがき弁当をほおばる。
12年前に売り切れで入手できなかった駅弁で、今回やっと食べることができた。
ニシンの甘露煮と大振りなカズノコが載った、いわばカズノコの親子弁当だ。
真夏にカズノコというのも乙だった。

木古内からも若干の乗車があり、車内は同業者でほぼ満席。
いよいよ廃止予定の区間に入る。
頃やよしとばかりに明るい日差しも射しはじめる。
このあたりは水田も多くあまり北海道らしくない風景なのだけれど、
徐々に山間部にさしかかっていく。
吉堀~神明間は駅間距離が10キロほどもあり、ここで峠を越える。
人跡稀な原生林の中に線路が伸びて列車がゆく。
廃止されてしまえばすぐに自然に帰ってしまい、
人が立ち入ることのできない場所になってしまうのだろう。
何ともさみしい気分である。

やがて平行する道路がちらほらと見え隠れする。
所々で車を停めてカメラをかまえる撮り鉄氏の姿があった。
湯ノ岱駅で列車交換のためしばらく停車。
同業者は駅スタンプを押しに行ったり、写真撮影でホームをうろうろ。
かつて鈍行列車の長時間停車が多かった時代にはよく見かけられた光景である。
9ヶ月後に廃止になる鉄路だけに、みな思いもひとしおであろう。

空はまた曇りがちになる。
車窓左側に日本海が現れ、海沿いをしばらく走ってからやや内陸に入って江差着。
函館から2時間42分、木古内から1時間15分ほどの旅だった。

折り返しまで30分ほどの時間があり、人々は思い思いに過ごす。
構内で写真を撮ってから駅前に出ると、
12年前に昼食のカップラーメンを買った思い出のある何でも屋さんの看板が消え、
シャッターを降ろし閉店しているのを見つけた。
月日の流れを感じて切なくなったことである。

帰りも車内が同業者で埋まり、ロングシート部に腰掛けることになったがやむなし。
幻の天ノ川駅の駅名標(もどき)を撮影したかったのだが、
一瞬で車窓を過ぎ去り、かなわなかったのが悔やまれる。
前述の峠越え区間あたりで疲れが出てややウトウトとしてしまったものの、
江差線木古内~江差間最後の夏をしっかり目に焼き付けた。

この列車は木古内どまりなので、木古内からは特急白鳥で函館に運ばれる。
北海道新幹線の工事が急ピッチで進められているようだ。
木古内の駅前後の高架橋はかなり建ちあがっていた。
自由席特急券を買いそびれてしまったので、函館の改札氏に料金500円を支払った。

17時と夕食にはまだ早く、
かといってあまり散策することもできない中途半端な時間なのだけれど、
駅から南に向かって歩いてみる。
これまで市街北側の函館湾方面を歩くことが多く、
南側の津軽海峡方面はあまり行ったことがなかった。
そちらも少し見てみたかったのだ。

駅から20分ほど歩いて海岸に出た。
静かな函館湾とは違い外海なので荒い波が打ち寄せている。
近くに二人の世界に入り込んでいるカップルがおり、
あまり長居をしたくない気分だったのですぐに回れ右する。

まだ西日が眩しく夕食には早いのだが、
ホテルに戻って出直すのも面倒なので松風町方面に向かう。
12年前にラーメンを食べたエビス軒を目指した。
函館に来たからには塩ラーメンを食べておきたい。
店の前に来たところ、こはいかに「臨時休業」とある。
仕方ないので駅前を歩いているとしなのという店を見つけた。
「はこだて塩らーめん」という看板も目立ち、こちらに入ることにした。
立地がいいためかそこそこ客が入っており、味の方もまずまず。
例によって近くのコンビニでサッポロクラシックを買ってホテルに戻った。

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