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1500年の花

以前にも書いたように、旧国鉄のローカル線を引き継いだ第3セクター路線が危機に瀕している。
のと鉄道能登線が3月いっぱいで廃止。来年には北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線が廃止される。
岐阜県を走る樽見鉄道も、収入の大部分を占める貨物輸送が今年度限りで打ち切られることとなり、
来年度から苦しい経営が予想されている。
当面は周辺自治体の支援を仰ぐようであるが、鉄道にやさしくない岐阜県のことだから、
この先はどうなることかわからない。

一度乗りに行っておきたいと思っていたところ、
沿線最大の名所といえる淡墨桜(うすずみざくら)が今週末に見頃になると聞き、
頃や良しとばかりに新幹線で出かけた。
名古屋駅では朝食がわりにホームのきしめんを食べる。106_0601
T村先生も著書で書いていたが、これはもう名古屋に来たときの儀式のようなものである。

大垣駅で東海道線から乗り換える。
跨線橋を降りると、DE10とスハフ14のディーゼルエンジンが唸りをあげている。
これから乗る列車は最近では数少なくなった客車列車なのである。
スハフ14の後にはオハ14が2両つながっている。
かつては特急として使用されていた車両が、
ローカル線でひっそりと観光客輸送に使われるさまは何とも哀愁を帯びていた。

車内は中高年のグループ客でいっぱいだが、なんとか窓際の席を確保する。
発車時、停車時のガクンとくる衝撃が実に客車列車で、懐かしい気持ちとなった。
しばらくは平凡な田園風景が広がった後、本巣を過ぎると左手に根尾川の流れが寄り添う。
あいにく反対側の席のため、写真は取れなかったものの、のびやかな眺めだ。

旧樽見線の終着駅だった神海を過ぎると、沿線は山深くなる。
根尾川の流れも渓谷の様相を呈してくる。
2度、3度と深い谷を鉄橋で渡る。いい眺めだ。
ほどなく築堤上にある終点の樽見駅に着いた。106_0606
時間はたっぷりあるので、DE10の機回しのようすなどをゆっくり見てから、
駅前の通りを抜けて、淡墨桜を見物に出かけた。

15分ほど歩いて山道を登ると公園が広がっている。
名所だけあってすごい人出である。
人の波をぬうようにして、淡墨桜の前までやってきた。
樹齢1500年(といわれているが科学的実証はないようだ)だけあり、太くて立派な幹だ。
そこから伸びた枝にきれいな桜色の花をたくさん咲かせている。
枝を支えるためのつっかえ棒がめざわりだけれど、
これだけの古木、大木とあってはやむを得まい。106_0618
素晴らしい眺めであり、しばし見とれてしまう。

その奥には、淡墨桜から苗木を分けた2代目の淡墨桜がそびえ立つ。
初代ほどの迫力はないものの、こちらも立派に育ち、見事に花が咲きほこっている。
公園内にはほかにも桜の木が何本も植わっており、みな満開で負けず劣らず美しい。
見物客がたくさんいて、アルコール類も売られているものの、酔っ払って騒ぐ輩は皆無で、非常にのどやかだ。
まだ日が高いということもあるかもしれないが、これほどの名木を前にしてしまうと、
人は何となく厳粛な気持ちになってしまうのかもしれない。

食堂で当たり外れのない代表といわれるカレーライスの昼食とし、
非常に満足した気持ちで淡墨桜を後にした。
樽見の町は静かな山里という感じで気持ちがよい。

帰りの樽見鉄道はレールバス2両編成だったが、車内はぎっしりで何とか座る。
外もよく見えないので、ポカポカと暖かい車内でウトウトとしながら過ごす。
まっすぐ名古屋に戻るのでは芸がないので、
岐阜から高山本線、太多線を経由して多治見、そこから中央本線で名古屋に出た。
中央本線の古虎渓、定光寺付近の渓谷美を除くと平凡な風景に終始したが、
どこでも桜と菜の花は美しかった。

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