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時代に逆行する街

環境面に配慮された交通手段として、全世界的に見直されている路面電車だけれど、
今それを廃止しようとしている都市がある。
この30年以上前に逆行したかのような街、岐阜を訪れた。
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土日は同業者で混雑しそうなので、平日に休みを取り、新岐阜駅前に降り立った。
2両の連接車に乗りこみ、揖斐線の黒野を目指す。
忠節までは岐阜市内線だが、車線が片側1車線と狭く、
交差点では右折車が軌道をふさぐなど、確かに交通に支障が出ている点が見受けられる。
また、よく知られているように、停留所は路面にペンキを塗っただけの非安全地帯で何ともぞっとしない。
長年にわたりこの状況を放置してきた行政側には苦言を呈しておく。

忠節の手前から電車は専用軌道に入り、生まれ変わったようにスピードを出す。
沿線は住宅が途切れなく続き、大きいマンションも目立つ。
マイカー利用者が多いのだろうが、工夫次第では鉄道に取り込むことも可能だったはずだ。
日中は15分ヘッドと利用しやすく、平日昼間だのに車内もさらりと埋まっている。
仏コネックス社との話し合いも進展せず、安易に廃止するとはどうしたものか。
5年前に新車を投入するなど、前向きの姿勢が見られたときもあったのに、
改めて行政と企業のやる気のなさにうんざりした次第だ。
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終点の黒野に近付くと、田畑や家々の屋根に雪が目立ち始めた。
こじんまりした駅舎を出ると、小雪が舞っている。
廃止まで2ヶ月ちょっととなり、なごり雪のように思われた。

折り返しの電車に乗りこみ、徹明町で降りる。
ここで美濃町線に乗りかえるが、車が両側を猛スピードで走りぬけていく中、
ぽつんと停まっている小さくて赤い電車がわびしく見えた。
この電車は日野橋どまりなので、終点の関に行くには野一色で乗り換えよとの由。
本数が少なく使いづらい区間のせいか、揖斐線に比べると乗客はまばらだ。
野一色の手前から専用軌道となり、小さなホームに停まる。
前方の電車に乗り換えて関へと向かった。
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やがて車窓は田園風景が広がり、実にのどかだ。
上芥見電停あたりは狭い田舎道の片隅に線路が牽かれ、そこをのんびり電車が進む。
40年ほど前までは地方都市でよく見られた光景だけれど、
今は貴重で失いたくないシーンだ。

長良川鉄道に隣接した関は仮乗降場のような雰囲気で、
一つ手前の新関の方がやはり貫禄がある。
もう午後3時をまわり、下校の高校生も乗ってくるが数はそれほど多くない。
揖斐線に比べると輸送量の面はちょっと苦しいかなとも思った。

競馬場前から田神線に入り、車両基地の横を通って犬山線に合流する。
20m電車用の高いホームと、路面電車用の低いホームが直列しているのはユニーク。
約4時間半かけて新岐阜に戻ってきた。

確かに中心部では道路拡張や部分地下化などの大手術が必要になるかもしれないが、
総合交通体系を考えることもせず、邪魔になるから廃止しますではあまりにも乱暴だ。
沿線は決して利用客皆無の過疎地帯というわけではないし、
廃止は後々まで、岐阜という街に汚点を残してしまうのではないだろうか。

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